金魚の話

 金魚と言えば登場する代名詞のような存在の琉金。
やはり飼うならこれだな。
ところで何故硫金と言うのかな?
実は中国が原産で、琉球を経て日本に入ってきたため、琉金の名が付いたらしく、その寿命は、一般的に6~7年、うまく飼えば10年以上も可能だそうです。
金魚の中では和金(金魚すくいの金魚)が一番長寿で、45年の記録もあるそうです。
ちなみに金魚すくいにデビューするのは生後4ヶ月ぐらいで、それ以上だと大きすぎてはお客さんから「すくえない」とクレームがつきます。

その飼い方は一般的には池か水槽ですね。
琉金の場合は水槽のほうが多いようです、上から見ているだけではつまらないですからね。
水槽で飼うときは、水の入れ替えなど結構世話がかかります。
ちょと手抜きをすると、あれあれ、白いものが付いています、病気かな動きが変ですよ。
ちょっとの手抜きが寿命を左右しているのかしれません。
大きな池ならその心配は少ないのですが、あいにく池を掘れるほど大きな庭など私の財力では山奥に行つても手に入りません。
鑑賞するならやっぱり水槽ですね。

2008年3月、琉球から来かどうかは分かりませんが、1匹120円の琉金7匹、680円のらんちゅう3匹を購入。
なんとなく始めたものですから、何が悪いのか半年ほどで、あれよ、あれよと言っている間に8匹が他界、2匹になってしまいした。
この2匹も幼少より病がち、塩水につけたり、白カビをこすり取ったり、なんとか成長しました。
2匹を眺めながら、魚の習性・動向を知ることで、釣果に反映させる事が出来ないかと毎日眺めているのですが、餌をねだるしぐさは自然界と違って、その行動はあまり釣果に役立ちそうではありません。
時間が来ると、そわそわ水槽の中を行き来して、私が水槽に近ずくとはしゃぎ回って餌をねだる。
この中に釣り糸を垂らせば、こやつらは一網打尽だな。
しかし、ただ餌をねだるだけではなかったのです。
金魚たちは大胆な行動を起こしたのです。
一年目の秋、事のはじまりです。

この2匹、仲がいいのか悪いのか、いつも追いかけあいをしています。
少し小柄な気の強そうな方(しょうちゃん)が、ぽっちゃり系のおっとりした方(だいちゃん)をしつこく追いまわすのです。
その追いかけ方は何かに取り付かれたように、餌にも目もくれず追いかけるのです。
見るに見かねて2匹の間に仕切り板をいれると、仕切り板はさんで、寄り添っているのです。あれ、どうなっているの? 仕切り板を外すとまた追いかけ合い、どうもおかしい、これは求愛行動なのか。

それは9月のある日曜日の朝でした。
何故だか水草を散らかしているのです。
そして2匹がはねた瞬間、半透明の小さな卵が、水槽の内でふぁふぁと舞っているではありませんか。
な・な・なんと、産卵してるがな・・・。
あわてて水草と共に別水槽に移し、しばらく状況観察。


産卵するのだからこの2匹は雄と雌に違いありません。では雄と雌の区別はどこで見分けるのか、なんとなく偉そうにしているのが雄、ちょと後を泳いでいるのが雌、お尻の穴の形が違う、など色々意見がありますがどれも定かではありません。
我が家の雄は、雌より尾びれが長く優雅です。人間以外動物は、雄の方が綺麗みたいですね。

1週間ほどすると半透明の卵に何やら黒い点が見えるのです。
その黒い点、時々動いています。
何時しか数ミリの稚魚がチョロチョロ水槽の中を泳ぎ回っているのです。
卵の殻は綿帽子のようになり、しばらくは餌になるようです。
でもその稚魚、あまりにも小さいので、これが琉金になるとは・・・。
ほんまかいな。
その後、水槽内は稚魚で通勤ラッシュ状態。
その数100以上、これが全部大きくなったら、どこで飼うのか、大きな池が必要です。
その年は、稚魚の飼育管理に不慣れだったこともあり、多くは自然消滅してしまいました。
それでも生き残った稚魚は、あっちこっちに里子に出し、我が家には10数匹残り
水槽が又一つ増えてしまったのです。

一般に金魚の産卵は春と秋に行われると言われてます。
翌年の3月、4月とおとなしく過ぎ、もう年なのか、その矢先5月に入って怪しげな行動、またまた求愛行動。またまた産卵。
前年の秋はエアーを入れたのがふ化してからと遅く、また水温も低かったためか2割ほどしか残りませんでした。
今春はその反省もあり、卵の状態からエアーを入れ、順調に孵化。、
その春は、結局3回産卵し、その数数百匹。水槽は昨年の稚魚が占領。
しかたなく衣装ケースに水を張り“ぶくぶく”エアーを入れ、まるで養殖場状態。

そして、この衣装ケースの中では、生々しい弱肉強食の世界が繰り広げられていたのです。
先に大きくなった稚魚は、どんどん餌を食べ大きくなり、小さいのは何時までも食べれないので大きくなれない。
大きい稚魚は、小さい稚魚を餌と間違えているのか、弱者を淘汰するように遺伝子に組み込まれているのか、食べてしまうのです。
丸かじりして、口から半分出して泳いでいる。
ほんま、何という弱肉強食の世界なのだろう。
どこの世界も生きていくのは大変なのだ。

秋より水温が高いためか、ふ化も早く稚魚の活性がいい。
半年後、さて何匹残っているか、ふ化した稚魚が数百匹以上なので百匹以上が残るかも。もう室内飼育は無理、ほんとに池でも掘らなくてはならない状態になったのです。

とりあえずこのまま室内に置いておく事は、日常生活に支障をきたすことになりかねない。ともかく屋外に置くことにしよう。
かといって、衣装ケースのままでは、なんとも無粋。
さて池を何処に掘るのか?無理だ。
池を掘るとスペースは我が家の庭にはありません。
何か入れ物はないか?。
大きな瓶でもあればと信楽で物色。
安いのか?高いのか?何軒か廻り手ごろな大きさのかめを見つけて1万円で購入。
この大きさだと衣装ケースの容量と変わらないので十分だろう。
早速水を張り稚魚を移したのです。
自然環境に近ずくようにとほてい草を浮かして住みやすい環境を整えたはずなのですが、食卓の足元で飼っていた時とは違い、距離が遠のくと愛情は徐々に薄れるものです。
しばらくして、ふと瓶を眺めるとなんだか少ないな?
20数匹となっているではありませんか?
どうしたの?残りは解けて無くなってしまったようです。
このままでは全滅だな、なんとかしなくては。
又、又水槽を購入し屋内に移すことにしたのです。
結局大小合わせて4つの水槽に囲まれての生活です。
水を替えるのは1日仕事、何となく始めた金魚の飼育もどんどん増えると、世話の楽しさが徐々に苦労に変革していくではありませんか。
その後、多くを里子に出したり、自然消滅などで、ようやく水槽2つまでこぎつけたのです。
その後、度々産卵するのですが、もうだめだ。無視して素早く水を入れ替えるのです。
何時しか水子の祟りがあるかもしれません。

その後2年ほど稚魚達もすっかり大きくなり、2つの水槽で優雅な生活を送っていたのですが、先日悲しい出来事がありました。
イサキ釣りから帰った日でした。そうですあの苦行のイサキ釣りです。
その日は家内が女子会と称して留守。
釣果10匹足らずの料理に結構時間をかけてしまい、刺身を造り食卓に。
さあ食べましょうとビールをプシュ。
ふと水槽に目をやると、あれ何だか変です。
一つの水槽の金魚たちが動いていません、隅っこでお腹を上にし息絶えているではありませんか、なんと・・・。
しかし1匹だけなんとか息をしている。
原因はフィルターの故障により、残餌の腐敗による酸欠。
ポンプに餌がつまりモーターが止まっていたのです。
そういえば最近ポンプの掃除をしていなかったかも。
愛情の欠如なのかも知れません。

何とかせねば。
食事が先か、救出が先か。
死んだ金魚を目の前にしては食事も美味しくありません。
食事中断。
他界した9匹は丁重に生ゴミとして搬出。
いき絶え絶えの1匹は、食塩水とエアレーション。
救命処置がよかったのか、生命力が強かったのか、いまは何とか回復し元気に泳いでいます。
おかげで・・・、いやいや残念だが・・・。
今は金魚9匹水槽一つでちょうどいい。